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********* よりハッピーになる微笑み空間をつくりましょう!! ***********
                     
                   ====ヴィーン市 住宅政策の力====

                       2008年10月21日

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紅葉が楽しめる季節となりましたが、お元気ですか。

すっかり、季刊のようになってしまいましたが、

いつも、読んで頂きまして、ありがとうございます。

アメリカの低所得者層向け高金利住宅融資の破綻に起因する、ウォール街金融破綻、

世界規模の金融市場危機、その影響が長期的に世界経済に波及し、自由資本主義の終焉と、

将来の歴史教科書文面を想うこの頃です。

同時に2001911日のワールド・トレード・センターなどへの大規模計画的テロから、

戦争経済が大規模化し、ゲーム志向の世の中で勝ち組と負け組みに分けるような格差社会の傾向が著しくなった中、

フランスのファイナンシャル・グループの、止め処も無く膨張したサブ・プライムローン融資から

撤退したことが切っ掛けと数ヶ月前の新聞紙上で見にして、人類の存亡の為、

世界平和を構築し地球問題を取り組むべき課題とし、中東和平、イラク・アフガニスタン戦争終結には、

米国政治の変革を期待し、風向きを変えたのではと賢者の存在を深く想いました。

(以降、短文とするために、丁寧語は省かせて頂きます。)


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  そして、人の幸せな暮らしに必要な、衣食住・教育・健康から、個々の宗教・文化の尊重、

それを守るのを国連規模で行い、世界戦争、あらゆる戦争を地球上から無くすのを、

施しではなくて、個々の自らの手から、個々を生かした仕事から得られる人類社会とするために、

地球規模で本格的に実施する時代とも、将来の地球人類の歴史教科書に書かれているであろうと。(超楽観、誇大妄想的?)

   南北問題に加えて、鉄のカーテンの崩壊からの政治的変動移民、

地球温暖化から海面・水面上昇し耕作地が水没し難民増加。

上記のグローバル経済から伝統的生産体制や地域社会の弱体化や消滅。

運良く新しい生産体制に組み込まれる少数の他は、やはり出稼ぎに。


90
年代の大規模な政治体制の変化から、資源を活用して再浮上した国以外は、やはり先進国へ出稼ぎに。 

一方で、少子高齢化継続中の先進国は、労働者を受け入れなければ、生産体制が危ぶまれる。

(個人的に、感覚的に倫理的に、ロボットは恐ろしいと感じる。)


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  そして、最近、出入国が活発なユーロ圏で、東欧からの移住を受け入れている、

オーストリアの政治状況が気になっていた。

そこで、従来から課題としている分野でもあるので、昨晩、

「ウイーン市住宅政策」を垣間見ることができた「ウイーン市の工場跡地のおける住民参加による社会住宅を含むまちづくり」を、

当プロジェクトを主導した担当者、ウイーン市役所勤務の建築家、ボルクマー・パーマー氏の話を聴くことが出来た。

 

1.オーストリアの政治体制とヴィーン市社会住宅の伝統

 ウイーン市は、オーストリアの政治体制、国家憲法から、独自に教育や住宅政策を持つ権限をもつ。

そして、首都故に、冒頭の課題を睨んで、他とは傑出している。

「ウイーンは、第一次世界大戦後、世界初の社会住宅と言われるKarl-Marx-Hof以来の社会住宅の伝統がある。

近年は社会住宅の質が高まり、他のヨーロッパ諸国のような社会住宅団地のスラム化問題を

起こさない住宅事業が実施されている」(都市住宅技術研究所、海老塚良吉氏)との案内あり。

80年の社会住宅の歴史があり、全市のほぼ60%が何らかの公的資金援助を受けた住宅に住んでいる。

50−60万戸の内、22万戸が市営賃貸住宅、16万戸が住宅組合、

13.6万戸が制限付き営利団体により、残りが一般民間住宅とのこと。

  オーストリアでは1988年から中央集権的体制を解体し、

(市場の標的、地元の利害の対象とならないように、)賃借権、住宅所有条例、

非営利住宅条例のような最重要の国家的レベルの課題以外は、地方分権化が進められた。



2.ヴィーン市の住宅政策

 そして、ウイーン市は独自の住宅政策を掲げた。

   社会住宅の資金源は、国の税収からと地方自治体からの予算の上に、

賃借人からと、助成された所有者からと、一戸建て家族向け住宅分野からだ。

国の税収からは、合意に基く
9つの地方自治体へのものの一つで、450百万ユーロで、約675億円の国からの住宅政策予算だ。

年毎に多少の変化、調整はあっても、かなり大規模な、地方独自の住宅政策に国家予算が当てられている。

それでも、ウイーン市は、近年の高まる需要から、独自の財源を持たなければならなかった。

超過分は、年間600百万ユーロで、国からの予算を大幅に上回る。

産業変革、大規模工場移転、仕事が減り、失業者が増加し、減税が求められる社会状況の中で、

社会住宅の為といえども、増税は不可能であった。

   一方で、人口はそれから15年間で1.7百万人から2.0百万人近くに増加する見込みで、

助成住宅の建設は、年間5000戸から7000戸に増加してきている。

   また、オーストリア自体が、最大の家主で、ウイーン市は約22万の賃貸住戸を所有する。

加えて、国の法律に基く、多様な、制限付き営利団体も、新しい社会住宅の所有者である。

これらの団体は、国の法律の下に、自体の規律と、尊重すべき地方自治体により、コントロールされている。

現在、こうした制限付きの営利団体は200程在り、65万戸の賃貸住戸を管理運営しながら、

毎年、
15千戸を新たに建設している。

  ウイーン市は、
13万6千戸を所有し管理していて、更に、22万戸の民間賃貸住宅の主要な住宅助成者でもある。

この住宅助成おいても、世帯ごとの収入制限と住宅規模の制限が考えられている。

制限付き営利団体は、税金からの恩恵を受けるが、利益は、更なる住宅生産へ再投資しなければならない。

事業採算をカバーする収支計画、運営費などのランニングコスト、10%の消費税に基いて、

家賃は、厳しく統制されている。

最近の助成賃貸住宅の月当たり家賃は、平米当たり1000円ほどである。

加えて、低所得者用賃貸住宅の場合には、

急な病気や失業などに備えて、住宅保証手当てもある。

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     因みに、観光王国ともいえるオーストリア自体には美しく誇れる伝統的住宅や村、町がある。

ウイーン市には、20万戸近くの民間住宅があるが、その内には、

かのオットー・ワグナー作の民間賃貸住宅、マジョリカ・ハウスも在る。



 リンケ ヴィーンツァイレの集合住宅(Linke Wienzeile Houses)
                                 :写真提供 オーストリア観光協会

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 更に、市や制限付き営利団体は、安く土地を取得するの尽力している。

その上、賃借人からの入居料を設定する。これは、移動の際には、返還される保証料のようで、東京では敷金のようでもある。

これは土地代と建設費の12.5%に当たる。1000万円として、125万円となる。土地代と建設費を合わせた事業費の内、

30%くらいは助成金からで、他にも省資源や省エネなどの部門別で、助成金や補助金が利用できる事業費故に、

この割合で入居できる。加えて、低所得者は、かなり低利の住宅入居料のための公的融資が利用できる。(民間金融機関は関係していない!)

  また、高所得者は、こうした所得制限付きの助成住宅には入れないが、

元々、入居していて、将来、高所得者になったとしても、出る必要はないことが保証されている。

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 国家憲法により、ウイーン市が、多かれ少なかれ自治により、住宅の助成金を決める権限を許している。

質を妥協せず事業費を抑えることを目標とした助成、交付金もある。

  全住宅生産の90%を、こうした社会住宅が占める市場で、

市はバランスを見ながら市場の土地代と建設費をコントロールし、事業費を抑えるようにしている。

住宅開発業者は、競争し合って、一貫した良い計画、コスト・パフォーマンス、エコロジーのための貢献度など尽力し、

分野を超えて総合的なスコアーを付けて、審査されている。

こうして、助成対象から外されないように、相応の質を維持継続している。

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 更に、社会住宅として助成する故に、その条件として、

地球温暖化問題の対策として、最大でトータル50k
W/m2/yearの省エネの基準値を規定できる。

今では、よりパッシブ住宅の傾向が強化されて、15k
Wh/m2/yearとなっている。

また、水利用に関しても進んでおり、雨水利用や、排水浄化利用や、パッシブ&アクティブ両方のソーラー利用、

建設廃材削減値の指標設定と、可能となっている。

そして、暖房必須の気候故、地域暖房利用を義務付けている。

こうして、社会住宅が、鉄道などの交通機関や教育機関が、社会都市計画された下に、

計画される。

3.社会住宅を含む工場跡地再開発

 さて、こうした中で、「社会住宅をふくむ工場跡地再開発」である。

 1897年から1997年の間のことであるが、

1897年当初、12区に電気普及のための電線ケーブルを生産する工場が建てられた。

その後、変遷し、最終的にシーメンスが所有していた。

その後、シーメンスが、転出し、再開発計画されることとなるが、

100年間という長期間存在し、区の人口8万人ほどがこの工場に関係するという大規模の故に、

工場は人生の一部、アイデンティティの一部ということで、安易に出来ることではなかった。

市は、理想的な都市再開発を目指す「2000年都市プロジェクト」として革新的な工場跡地再開発計画を目指した。

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 初めに、哲学的問題を重視して、コンペティションを行い、

地域のマネージメントに質とつながりを重視し、

積極的住民参加でも、周辺住民の希望を叶えることを優先的に考え、

住民も35人から3人を市民アドバイザー委員として選挙で選んで、

住民・行政・事業者・専門家集団連携を組み、

10年間ボランティアで計画・設計・建設の全て開かれたプロセスで行われた。

周辺住民の希望は、出来るだけ工場建物を残すことであり、再利用の元となっている。

市の担当者達と、住民、市民たちの熱意があってこそ、実現可能なもので、

故に、その成果は、質の高い生活を保障して、世界の尊敬と羨望の眼差しを受けている。

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 工場跡地は、8企業が取得し、1つは市であり、他の7つは制限付き営利団体である。

開発行為の責任者はディベロッパーであるが、民間ではなく、

公共住宅供給を目的とした非営利企業体が主要な役割を担っている。

そして、上記の8団体が連合組織をつくって、
行政指導の下に市民参加の開発に対応した。

 突出しているのは、

@計画スタート時に、7000人ほどにパンフレットを配布し、

元工場労働者を含む住民のコンペをしていることだ。

Aそれに平行して、ワーキンググループの計画が進んだ。

Bそして、市民アドバイザーも審査員として加わる専門家による都市計画アイデアコンペがあり、

C当選案のテストプロジェクトが行われて、

D最終的にブロック別の実施設計が行われた。

コンペの審査員は、区長・地区祭司卿・ジャーナリスト・市代表者で構成されていた。

また、開発以外に、既存施設を利用した演劇、コンサート、
Expoなど文化事業も行われた。

更に、学童も100分の1の木のブロックによる模型作りと★体験学習★を受けて、市民参加している。

また、こうした、★プロセスが全て公開★で、積極的に★広報・展示活動★されてきた。

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 そして、その市民参加の結果として、

ウイーン市ガスタンクの集合住宅化のように「(帝国時代)過去の栄光を残す再開発の考え方」と

1930年の
GrogeWashinngtonhofという外と繋がる中庭のある集合住宅のような周囲との融合のある、

周囲から隔絶した施設にしないこと」と、

ゲットー、スラム化を防ぐように社会層の混合」いうことが導かれた。

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 より専門的なことは、笹川和郎氏による「海外住宅情報シリーズ 住民の積極的参加によるウイーン市の工場跡地再開発」

(月刊 住宅着工統計
200611月と12月)を参照して頂き、省略(建設費1150Euro/m2、土地代350Euro/m2など)するが、

その中でも、特別な点は、
Center for Environmental Structureが、長年進めてきた方法と同じであるが、

★★★まず、外部(都市)空間をつくるために建物があるといところだ。建物を建てた後の空いたところが、公共空間なのではなくて、

Wrap-around architecture」ということで、公共空間をつくる、包む建築として、計画★★★され建設されたというところだ。

4.感想と今後の課題

 しかしながら、残念なことに、スライドを見た限りでは、

高密度の都市と郊外の接点のような地区で、

周辺の既存の伝統的民間住宅、前世紀前半の社会住宅の方が数段美しく、環境的に建築的に魅力的であり、

自分が好んで住むのは、こうした新しい社会住宅ではないと感じたところだ。



観光名所ともなっている、

オットー・ワグナー作のマジョリカ・ハウスのような高級民間集合住宅に住むのは無理でも、

古い伝統的住宅や、古い個々の庭のある低層社会住宅に住むであろう。

 その問題は、やはり、計画プロセスにある。

革新的な都市再開発であっても、やはり、

10年という短期間のサイクルで、広範囲の計画を、

構成はバランスがとれているとはいえ、市という単一な組織で、管理されて進められたということ。

ブロック分けしたとしても、大規模で、各ブロックを個性的に各アーキテクトがデザインしたとしても、

均質的に感じられ、自然には感じられない社会住宅としての限界も感じた。

(かのフンデルト・ワッサーは元気なのだろうか?)

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 そして、工場が無くなった後の仕事場はどうなったのか。

最終的に工場勤務者は700人であったが、

周囲に散らばる中小規模の工場に勤めたのが約200人、

残り500人は引退か、雇用されていない。

また、周囲の住民は既に静かで良好な住宅に住んでいるので、移動はなく、

新しい社会住宅の1000戸に住む2000から3000人は、他からの転入者である。

それは、当初から見込まれていたようで、初めに、地下鉄と教育機関や公共空間が計画されている。

これは世界的な政治変動などから受ける影響を吸収して、

しかも、軋轢や民族紛争や戦争を回避して、既存の良き住環境、国を守るすべでもあるのであろう。

そして、産業変革時に、事業、仕事を提供できる社会のシステムに、この社会住宅生産ステムが生きている。

価格競争の中で、市場原理に従う営利追求欲から、耐震偽造を生む国柄、

100円ショップで普通の町工場や中小企業の衰退、若者から安定した仕事を取り上げる社会構造よりも、

比較的近い過去に大失敗をした国でも、新興右翼を抑えて、数段先の社会潮流の流れを行っていると感じた。

 最後に、社会意識は、地球をリードするようなレベルの高さで、入居者は、

オーストリア人に限らないと、パーマー氏は質疑に応答してくれた。

外国人が排除されるような社会風潮があるのではと懸念していたが、

A?ブロックの入居者は、18カ国の国籍から成るとのこと。Great!! やはり、素晴らしい、ビバ!オーストリア! 

第一に、2,3国の国籍ではなく、18カ国の国籍ということ。

世界に開いていると同時にオーストリア人たるアイデンティティは大切に出来ますね。

第二に、やはりホスピタリティこそ、唯一の戦争を避ける道ということは、長年の人類の歴史から学んでいるところですね。

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後記

 土地問題、原油価格、国際市場に翻弄される建設費、

マイホーム・ローンや賃貸住宅事業融資が重荷になっている周囲を見渡して、

サブ・プライムローンを他所事とは思えず悶々としている日々の中、

明るい光を見られたような勉強会でした。

そして、こうした海外住宅勉強会を、

都市整備公団が前身の都市再生機構内でやっていると驚きでもあり、

こうしたプロジェクトを名古屋市白鳥で、あるいは千種区で15年前に出来たら、

逆に日本の市の職員・建築家が、世界で発表していたら・・・と、やはり思ってしまうのでした。

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次回をお楽しみに。

それでは(*^^)/~~

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クリストファー・アレグザンダーの長年の研究成果が収められている

 The Nature of Order からの15の幾何学的性質のご紹介ですが、

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