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  よりハッピーになる微笑み空間をつくりましょう♪20170105号♪

    〜生きているプロセス:戸建て住宅改修の事例その3〜

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 明けましておめでとうございます。

 本年もご厚誼の程、宜しくお願い申し上げます。

 松の香りに包まれて無心の内に、 穏やかに新年を迎えられたことに感謝しながらも、
地震や津波からの復興中や、 原発人災からの避難生活中に新年を迎えられたり、
大火災に見舞われた方々へ、
更には内戦の続く中、
国際社会が信じられなくなった普通の人々や 平和を知らない子供たちへ、
希望とご多幸をと祈る三が日でした。

 今回も、昨年の実例を、ご一緒に振り返りながら、
クリストファー・アレグザンダーの著書 「The Nature of Order :秩序の本質」http://www.natureoforder.com/
への理解を深めて、
意識せずとも認知として日常的に役立つ助けになればと願い
ご紹介いたします。(*^o^*)

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 前回までは、既存の戸建て住宅の耐震改修工事例から、
唯一無二の価値を高める抹茶茶碗の金継のような屋内から屋外へと窓周囲から、
道空間との関係の修復へ向かいました。
窓と塀が「環境構造の保存と強化」 の要、センターでした。

 今回は、やはり既存の戸建て住宅の耐震改修工事例ですが、
元々、屋内と庭、屋外、街路空間との良い関係は潜在的にある所で、
建物や塀の劣化や亀裂から損なわれていたのですが、 やはり、センターは窓と塀でした。

 その生きているプロセスの中で、耐震補強を進める中で、
全てが更新されない為に、劣化の度合いから、完璧ではない、 未了の状態を、
大地震でも凶器とならない建物にする為に いかにするべきか、
最善策を模索し続ける中で、
幾何学的性質も見えてきて、解決策つまり「美」が生まれる ようにと導いてくれるようでした。

 問題を解決しようとする時に、幾何学的性質は すっかり忘れられています。
何枚ものスケッチを描く時に、視点は固定されており、 決して全体を見てはいないのです。
全体を見たいとスケッチを多くしてもキリが無く、 現場で実物を目の前にした時に、
スケッチしていた本質的な解決策は自ずと出て来ても、
意図したような幾何学的性質は、忘れられてしまうのです。 それは、必要ないからです。

       

 ズームインして詳細を詰めることも大事ですが、
意図して図面に描いた塀の控え柱と、フェンスと、基礎の左官仕上げの目地の位置で、
ローカルシンメトリーを意図したのでしたが、
ズームアウトして街角から建物全体を見ると、
ゆったりとした道路空間の向かいのヒマラヤスギの樹形と呼応する 切妻屋根が連なるラインから、
全てが「エコー」している 建物全体と屋根並みと、
「ラフネス」が住宅街にしっくりしている、
ぐるっと塀と庭の緑とゲートや門が「交互の繰り返し」のリズムを もって続いて、
環境構造のセンターを強化 する方向へと進むようにと導かれます。

 最も厄介であった亀裂の入った塀の解決策が、
建物との一体感のある 橋の架かる池を囲む岩庭をひっくり返すような、 フェンスにする塀の更新ではなく、
プライバシーを守るのみではなく、 ゆったりとした道空間を守る塀の補強が、
全体性に貢献する センタリングプロセスのセンターだったのです。 道空間を金継するような。

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 塀は街区のラフネスのある「壁」で、そのリズミックな感じは変化のある屋根並 みと呼応しており、
ヒマラヤスギの手前の、その向かいの家で、
建物高さや形状が、その間のゆったりとした幅員が8メートル弱の道空間を 挟んでシンメトリーに近く、
その道空間を記憶にとどめる特徴、ユニークさ をもたらしていた。
そのT字路の突き当たりを構成する一角には、 その家の斜向かいであるが、
地域医療を担う内科医院が在り、
T字の反対側には、小学校の正門が在る。
この通過車両のない道空間を行く歩行者の足を休めるような、
住環境の全体性を強化して、
調和ある眺めを楽しめる オープンスペースとしての道空間の意味を強化して、
センタリング・プロセスで「環境構造の保存強化」が 潜在力を強める可能性を秘めていた。

 耐震補強後も完璧ではなく未完である、
その馴染みのある不完全さが全体の中では嵌り、隣とつながり、
居心地よく親しみのあるダイナミックさを生んで、 道行く人が和かに互いに声をかけ易くなる。

 家の耐震改修で始まり、 ヒビの入った塀の解決も課題であったが、
それが有ったからこそ、
建物の耐震補強の不完全さを心理的にも補う、
家の環境構造を強めている岩庭というセンターを 守って、
塀を強化することで「境界性」を生かして、 「エコー」や「ラフネス」と共に、
建物のみならず街並みや街区を、全体性を強化出来たと感じている。

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 そうして、机上のスケッチで「ローカルシンメトリー」を 意図していた
塀の基礎の左官仕上げ目地の位置は、 現場ではすっ飛んだ。
その現象に気がつかない内は、 「目地の位置を間違えた!」と萎れていた私を
「そんなことは、いいの! 最初のスケッチの通りですよ」と 優しく笑顔で奥様が慰めてくれたのかと思いきや、
ポイントを突かれたのでした。
本当に地域の中で暮らして、
長年、住環境を大切に愛情を注いでいる方だからこそ、 気がつくところでした。
彼女は最初から、それ以前から、 ずっと前からご近所と共に全体を見ていたのでした。


 部分的にも一連のスケッチを見返してみると、そうでした。
既存の全体性から、つまり、
向かいのヒマラヤスギの樹形や枝振りの 斜線とシンメトリーに近くなる一連の屋根形状の斜線が、
枝のような長さで段々に続き、
その流れるような屋根の斜線とバランスを取るように、
バルコニーの立ち上がりでもある庇の斜め線が、
段々に置かれた舟のような規模で、建物に奥行きをもたらして、
道空間に圧迫感を与えることなく、全体性に貢献していたのでした。

 屋根の軽量化はヒマラヤスギと呼応することにも貢献したが、
バルコニーを取り払って、建物を箱形状にするのは、
建物や街路空間の全体性を壊してしまい、
メーカー品を此処彼処にと取り付けてしまうのは、
新旧溶け込まず、コントラストを強調してやたらと緊張感を高めて 住環境の質を損なうと懸念して、
バルコニーの劣化を止め補修をして大切に維持する方向としました。

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 しかし、内部骨組みの鉄製部分の錆は酷く、
これらを更新することは、新築の方が楽と考えられる程、 無理と考えられました。
ガレージのゲートは歪んでおり、
取り払うと、耐震補強した建物でも、
ガレージ側に 大地震時には傾いて倒れるのではと懸念されるのでした。






 ヒマラヤスギと呼応する屋根並みや、
その斜線と呼応するする バルコニーの立ち上がりである庇の斜め線は、
街路空間や街区全体の個性や特徴を構成しているので、 大切にして、
耐震改修工事で窓を縮小して耐震壁を増設して、
建物として安定した街路空間の外郭を守りつつも、
劣化した部分はどうしても残る「不完全さ」を、
亀裂の入った塀を布基礎と同じように補強する為に、
控え壁に控え柱のボリュームを持たせて 、
橋脚の様に塀の両側に鉄筋コンクリートのボリュームで塀という橋げたを支えるのだが、
大地震時には劣化した建物部分を補えるようにと意図しているが、
各々、異種構造体として、自律して在るように離している。




 年を経て大樹のように根を深く広げて地域に根づいている
住まう人同士が助け合うように、
緩衡地帯とも境界空間とも住環境のセンタ ーのともなっている道空間を守ることは、
建物や塀を守ることと一致して、
ここでも矛盾しない解決策が、経済的でもあり、 時を超えた質を導き出すこととなって、ハッピー!



 塀沿いを安心してゆっくり歩けて、草花を愛でながら話を咲かせて、
内科医院へ通院する患者さんの免疫力も高めて、 ヒーリングするだけでなく、
そうした落ち着いて安らげる家、住環境の中で、
「微笑み空間」に包まれて、子供を育み暮らして生きられれば、
ストレスを和らげて、
現実逃避のゲームやアニメの中での 悪質な冗談や戦闘で発散して、
その真似事遊びがエスカレートしていく 危険が感じられる子供社会を閉じさせないで、
地域のおじさんやおばさんが不審者にならないで、
声を掛けて心を通じ合わせられる、
深い安堵感のある住環境になるようにと願って、
サピエンスとして、誇大妄想かもしれないが、
フィクションを、ビジョンを、理想をもって、 今年も頑張りましょう!

 向寒のみぎり、お風邪を召されませんようにご自愛を。(*^o^*)

 それでは、
 どうぞ、次回をお楽しみに〜(∩o∩)ノ

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